気温差が出てくる季節となりました
- HAB保護動物クリニック 飯岡 恭子
- 2017年11月5日
- 読了時間: 5分
昼夜の気温差が10度を越える日が多く
冷え込む日には15度以上の時もありますね
そんな時期にはイヌ・ネコ問わず下痢や嘔吐のご相談が多いです
下痢は、割とよくある健康上のトラブルではありますが
舐めていると恐ろしいことになります
今日はそんな下痢について少しお話しようと思います
<下痢は病名ではない>
下痢、という病気はありません。
まあ言うなれば胃腸炎、というのが正しい表現です。
口から食べ物が入り、肛門から便となって
出てゆくまでの道筋を消化管と呼びます。
その消化管のどこかがトラブルを起こすと
下痢や嘔吐の原因となるのです。
<下痢にもいろいろある>
動物病院で下痢をしました、と先生にお話すると
いろいろなことを聞かれることがありますよね。
実は一言下痢、といってもいろんな種類が有り
その種類を知ることで治療の方針を変えることがあるのです。
①便の硬さ
便の形をしているけれど、少し柔らかいくらいの軟便、
どろっとしていて形のない下痢、
ほとんど水のような下痢
下痢にもいろいろな状態があります。
下痢を起こしている期間や、その病状の強さによって
変わってくるので病院では今の状態を正確に伝えましょう
さらになかなか病院に連れてくることができなくて
叱られそうに思えるのでしょうか・・・
「いつから下痢をしていますか」について
サバを読んで短めに申告なさる方がおいでになります
これは、百害あって一利なしです。
短期間で起こる下痢は、比較的軽い胃腸炎に分類されます。
飼い主さんや保護主さんの申告が短いと
「軽い胃腸炎」向けのお薬を処方します。
それでは「期間の長い重めの胃腸炎」を治すことが
できません。
せっかく頂いたお薬がよく効かない、いつまでたっても
治すことができずより悪化するということも。
確かに、厳しい言葉を掛ける獣医師もいますが
それ以上に大事なのは「早く治してあげること」ですよね。
どんな病気も早期発見、早期治療が一番です。
まずはきちんと愛犬・愛猫の状態を把握して
正しい診断と治療を受けましょう。
<下痢をしたときの初期対応>
便が緩く見えるけれど、すぐに病院にはいけない。
そんな時って、ありますよね。
下痢を起こしやすいワンちゃん、ネコちゃんの場合は
かかりつけ医と相談して「とりあえずのお薬」を頂いておくのも
良い方法です。
ちょっとそれが難しい、でも今すぐには病院にいけない時
ホームケアで緩和できることもあります。
①下痢や消化器症状向けの処方食
ヒルズ・ロイヤルカナンなどの動物病院で扱う処方食には
「下痢や消化器症状」のための専用のフードがあります。
ヒルズであれば i/d 、缶詰もドライフードもあるのでいざという時に
用意しておくと便利です。
ロイヤルカナンだと「セレクトプロテイン」シリーズ。
良質のたんぱく質を選んで作られているので胃腸の負担を和らげてくれます。
軽い下痢なら、これで治ることもありますので
どうしてもという時に便利ですね。
もちろん、原因があったり、強い胃腸炎の場合は
これでは改善しません。
ですが消化器の負担が少ない食事なので、下痢を起こしているときに
お腹に優しい食事をとることはお薬と同じく治癒を早めてくれます。
②処方食がないというとき
スーパーで、鶏の胸肉やササミを購入しましょう。
胸肉は皮の部分を取り除き、ササミであればそのまま
茹でるか電子レンジ加熱でしっかり火を通します。
味付けはしません。
人間であれば物足りないお味ですが、ワンちゃん猫ちゃんには
十分美味しい状態となります。
加熱したものを細かくほぐし、粗熱を取ってから
与えます。
大体ですが、いつも与えている食事の量の1/4くらいを
与えてみましょう。
喜んで食べてくれるのであれば、それを1回の食事にします。
ささみや胸肉は脂肪分が少なく蛋白量が多いので
消化の負担は少なくなります。
さらに1回の量を少なくすることで消化器の負担を最小限に抑えます。
食事の量としてはとても少ないのでお腹は空くかとは思いますが
次の食事まではお水以外は与えないでください。
下痢が収まっているようであれば、次の食事にはいつもの食事の
1/3量の胸肉かササミを与えます。
下痢が完全に止まっているようであればその次の食事は
1/3量のササミまたは胸肉にいつものフード1/4を加えましょう。
このあとは下痢さえ止まっていれば、徐々にいつものフードを増やし
ささみや胸肉を減らして元に戻します。
この対策で1日たっても下痢が止まらない、または悪化する場合は
重度の胃腸炎、またはなんらかの大きなトラブルの可能性があります
早めの受診を心がけましょう。
この対策については、成犬・成猫かつ健康状態の良い場合に
あくまでも緊急・一時的に行うものです。
なんらかの疾患をもっている場合や、幼若・老齢の犬猫の場合は
下痢が命取りになることもあります。
様子見はなるべくせず、早めにかかりつけ医に受診しましょう。
人間もそうですが、犬猫も気温差で体調を崩すことが多いです。
この季節、すっと冷え込む朝夕にはもったいなく思えるかもしれませんが
暖房のポイント的な利用や、毛布や暖かいベッドなどを上手に活用して
「冷え」からわんちゃんや猫ちゃんを守ってあげましょう。
ひどい下痢をして動物病院に受診する費用は、おそらくですが
暖房費や毛布の代金よりお高くなる可能性が高いです。
しっかり先を見据えて、愛犬・愛猫の体調管理を
していきたいものですね^^
HAB保護動物クリニック 飯岡 恭子
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