夏の要注意
- HAB保護動物クリニック 飯岡 恭子
- 2017年8月5日
- 読了時間: 4分
八月を超え暑い日が続いています
人間と違い、毛皮をまとった動物たちには厳しい季節だと
いってもかまわないとおもいます
そんな夏に多いトラブルについて
少し書いてみようと思います
熱中症
人でも多い熱中症ですが、近年はこのおそろしい病気で
命を落とす動物も着々と増えています
①室内飼いの犬・猫・その他の動物
室内飼いで動物飼育をされる方が増えていることは
とても喜ばしいことです
人の目が届きやすく、不調やトラブルに早めに気づいてもらえ
動物たちの寿命は飛躍的に伸びてきています
その一方で「密閉された室内」で
熱中症になり命を落とすケースも増え続けています
人間の留守のあいだ、戸締りをしないということは
なかなかないでしょう
締め切った窓や扉、窓から差し込む強い日差しのため
室内の気温はあっという間に上がってゆきます
動物たちは、人間と違い体を毛でおおわれているため
体温を下げるのが苦手です
特に犬の場合、「はっはっ」と舌をだして、唾液が蒸発する
気化熱で体温をさげるため湿度の高い日本の夏では
気化がなかなかできずすぐに体温が上がってゆきます
締め切った室内で留守番をさせる場合は
かならずエアコンをオンにしましょう
お出かけ中に落雷などで停電した場合、エアコンが止まってしまい
電力が復帰したあともスイッチが入らないこともあります
ご自宅のエアコンのスイッチをいれ、その状態でブレーカーを落とし
またオンにしたときに再稼働しないタイプのエアコンは要注意です
スマートフォンをお使いの方であれば、ご自宅のある地域の
天候アラームを設定しておくのもオススメです
長時間・長期間のお留守番は、危険を伴います
かならず「様子を見ることのできる人」がいるように注意しましょう
②室外飼育の動物たち
彼らは、日陰かつ風通しの良いところで過ごし、唾液で体を
湿らせて気化熱に体温を奪ってもらうことで暑さをしのいでいます
そのため「水は冬場の2倍」「濃い日陰」という二つのものを
しっかり用意しておきましょう
具合が悪そうな場合は、首筋や脇の下、内股などを冷やしてあげてください
一番気温の上がる午後だけでも、涼しい場所に避難させるだけでも
かなりちがってきます
③車の中の事故
最近、とみに増えているのが車の中での熱中症です
買い物中・動物病院での待ち時間など車の中で待たせるというのは
絶対にしてはいけません
待たせるのであれば、かならず人が一緒に待つようにしましょう
<熱中症の治療>
熱中症の治療は一刻を争います
暑い日にぐったりした動物を見つけたら、すぐにかかりつけ医に電話し
熱中症の疑いのある動物が来院することをつたえてください
体温を下げ、不足した体の水分を補う治療が主ですが
治療が早ければ早いほど生還の可能性がたかくなります
皮膚炎
い犬の皮膚炎は夏にとても多いです
それは犬の皮膚が高温多湿環境を苦手とするからです
本来の抵抗力を失った皮膚は、皮膚常在菌により
すぐに皮膚炎を起こしてしまいます
これは、免疫抵抗力のていかによるものなので防ぐのは
難しいでしょう
発見したら速やかに抗生剤の内服をすることをおすすめします
外用薬や消毒薬で対応することも可能ですが
毛深いかれらの皮膚のどこに皮膚炎があるのかしっかり見極めるのは
難しいからです
かかりつけ医の処方にもよりますが、約2週間しっかり内服を続けましょう
よくなって見えても、体の抵抗力は低いままなので中途半端に内服をして
再発するケースがとても多いです
夏の膀胱炎
特に猫で増えるのが夏の膀胱炎です
猫の尿は動物の中でも特殊で、尿が濃くなると膀胱を刺激し
膀胱炎を起こしやすい成分を多く含んでいます
尿結石の危険性が高まる冬と同じように
最近では夏の膀胱炎も増えてきています
クーラーで涼しく過ごすことはとても大事ですが
猫は気温が下がると飲水量が減ります
それにより急激に尿の濃さがあがり
膀胱炎をおこすのです
フードに水分が多いウェットフードを使う
シリンジなどで朝晩水分を強制的に補給する
などといった対策で夏の膀胱炎は防ぐことができます
毎日掃除するトイレの様子で「尿が減っている」ように
感じられたら要注意です
暑い日は人間も動物も辛いものです
上手に対策する、気をつけるポイントを知っておくことで
夏の病気を防ぎ快適な秋を迎えたいものですね
HAB保護動物クリニック 飯岡 恭子
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